7月分子ロボティクス研究会定例会

新学術領域「分子ロボティクス」
関係者 各位

平成27年7月分子ロボティクス研究会定例会を下記の通りご案内申し上げます。
懇親会へご参加を希望される方は、参加希望の旨をメールにてお知らせ下さい。

「分子ロボティクス研究会」2015年7月月例研究会(北陸)
協賛 新学術領域「感覚と知能を備えた分子ロボットの創成(分子ロボティクス)」
「分子ロボティクスの運動〜分子から組織の階層的なアプローチ〜」

日 時
2015年7月24日(金曜日)14時~
場 所
石川県四高記念文化交流館 多目的利用室3
アクセス
JR金沢駅東口バスターミナルより、バスにて「香林坊(アトリオ前)」下車後、徒歩で約2分
JR金沢駅より車で約10分、徒歩で約30分
世話人
平塚祐一(北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルサイエンス研究科)yhira(at)jaist.ac.jp
参加費
無 料
備 考
今年3月より北陸新幹線が開通し関東と金沢のアクセスが非常に良くなりました。東京行きの終電は21時となっており、懇親会終了後に終電に乗って関東方面に帰ることも可能です。懇親会も合わせ多くの方の参加を期待しております。

———-  研究会プログラム  ———-
「分子ロボティクスの運動〜分子から組織の階層的なアプローチ〜」
今回の研究会では分子ロボットの主要パーツの1つである「運動」に関して特集を企画しました。分子ロボット設計のお手本となる生体ではご承知の通りモータータンパク質と呼ばれる動くタンパク質が運動現象を担っていますが、それらの分子は分子ロボットのパーツとして直ぐに利用できる訳ではありません。心筋拍動・細胞分裂・鞭毛振動など生命現象で見られる多様で優れた機能はモータータンパク質をはじめさまざまな分子がシステム的に働くことで達成しています。分子ロボティクスの設計にもこうしたシステム設計が成功の鍵となると思われます。今回、特別講演のNICT大岩先生を始め色々なアプローチで運動システムに取り組まれている先生方を講師としてお招きし運動系のシステム設計について理解を深めたいと思います。
14:00-15:00 特別講演1 講師 大岩和弘先生(NICT 未来ICT研究所 フェロー)
「タンパク質モータの協働性と集団運動による自己組織的パターン形成」
タンパク質モータは、力と運動を生み出すATPaseであり、細胞機能に重要な働きを持つ。我々は、in vitro再構築技術を駆使して、このタンパク質モータの運動機能や制御メカニズムの解明に向けた研究を推進してきた。この成果を基に、現在、タンパク質モータが駆動するタンパク質フィラメント(微小管やアクチン)の集団運動、DNA origami技術によるタンパク質モータ集合体が示す協働性、タンパク質モータとフィラメントが構築する3次元アクティブゲルの相転移など、新たな現象を見出し解析を進めている。この口演では、これらの最新の研究成果を紹介したい。
14:00-15:10 休 憩
15:10-16:10 特別講演2 講師 森島圭祐先生(大阪大学 工学部機械工学 教授)
「生命機械融合ソフト&ウェットロボティクスの創製」
微細加工技術や細胞操作技術,組織工学的な技術を融合することで、従来の様なトップダウン方式ではなくボトムアップ方式を可能とした細胞ビルドアップ型の生命機械システムの構築が可能になってきた.細胞ビルドアップ方式で構築したシステムは細胞や組織を利用しているため、原理的には様々な生物機能を人工システムに取り込むことが可能である。例えば、小型軽量、柔軟、化学エネルギによる筋細胞によるアクチュエータや生物の持つ高精度センサ機能の付与が期待できる。以上の様な特性に注目し我々はこれまで、生命と機械を融合した“ソフト&ウェットロボティクス”、細胞ビルドアップ型バイオアクチュエータを用いたデバイスの設計を試みてきた。従来のロボティクスからのアプローチは電池の消耗や経年劣化、故障による部品の交換が必要であり、さらに機械的部品を用いるため生体適合性も低かったが、本アプローチや分子ロボティクス技術によるマルチスケールでの連携によりこれらの問題に対して解決案をもたらすことができる。本発表では、当研究室が進めてきた細胞や組織を駆動源とするバイオアクチュエータやナノマシン、バイオマニュファクチャリングについて紹介する。
16:10-16:20 休 憩
16:20-16:45 一般講演1 講演者 林真人先生(名古屋大学 理学研究科)
「細胞骨格封入リポソームの形態の多様性と外部刺激による制御」
多くの生物の細胞において、アクチンやチューブリン等の細胞骨格線維が細胞膜を内側から支える事で、細胞の形態形成や運動が生じると考えられている。本講演では、生物の細胞を模した力学的な実験モデルとして、細胞骨格を封入したリポソーム(人工脂質二重膜)に見られる形態の多様性について報告する。また、温度や圧力を変化させて細胞骨格線維を重合脱重合させる事により、リポソームの形態を可逆的に変化させる試みについても紹介する。
16:45-17:10 一般講演2 講演者 新田高洋先生(岐阜大学 工学部・応用物理コース 助教)
「モーター蛋白質によって駆動されるマイクロデバイスのシミュレーション」
細胞内で物質輸送や力発生を担う,キネシンやミオシンといったモーター蛋白質は天然に存在する分子機械である.この分子機械を用いて,Lab-on-a-chip やMEMSなどのマイクロデバイスを駆動する研究が行われており,これまでにプロトタイプのデバイスが開発されている.しかし,その設計は実験による試行錯誤によって行われているのが現状である.我々は,デバイスの系統的な設計を支援するシミュレーションを開発している.本発表では,そのシミュレーションから得られた新たな知見について報告する.
17:10-17:35 ニューフェース 講演者 下川直史先生(北陸先端大 マテリアルサイエンス研究科 助教)
「静電相互作用が作る脂質膜の構造と形状」
人工細胞の器となるリン脂質膜が自発的に形成する構造や形状に関する研究は多いが、ほとんどが電気的に中性なリン脂質を用いている。本講演では、負電荷を親水頭部に有したリン脂質を含む荷電脂質二重膜が自発的に形成する構造(相分離)と形状(膜変形)について荷電脂質間の静電相互作用に注目し紹介する。
18:00-20:30 懇親会(金沢片町周辺を予定)