ニュースレター20号発行いたしました

ニュースレター20号が2016年12月26日発行されました。BIOMOD2016特集号です。
巻頭言は、関西大学葛谷明紀准教授です。
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「BIOMOD2016大会報告」
いまだ記憶の新しい東日本大震災がおきた2011年は、また国際生体分子デザインコンペティションBIOMODが産声を上げた年でもある。私事ながら同年は、関西大学への異動(と人生初の関西転居)をした年でもある。研究室の初めて担当した学生達とチーム(Team-Kansai)を組んで以来、今のところ初年度から大会に皆勤していることになる。5年一区切りの節目を経て、サンフランシスコにところを変えた6年目のBIOMODに参加しての雑感を記したい。
会場入りしてすぐに見つけた、我々と同様にほぼ毎年参加しているポスドク時代の同僚と、Tシャツのデザインが一回りしたことなどをネタに雑談しながら周囲を見渡した第一印象は、アジア系の参加者が多いな、につきる。実際のところ、最後のボストン開催となった2015年の時点でも、参加30チーム中インドを含むアジアが17チームに達していたが、ここには日本チームが最大勢力として7チームも含まれており、さほど感慨はわかなかった(もちろん、日本以外のチームからは、「日本人だらけだ」と思われていただろう)。しかし今年の内訳は、24チーム中、日本5、中国(含香港)5、台湾2、韓国1、インド2と、とうとう日本は参加チーム数で中国に並ばれてしまったわけである。一方の欧米勢は、といえば、米国3、ドイツ2、カナダ1、メキシコ2、オーストラリア1であった。これらの数字を初年度のジャンボリー参加18チーム(内訳は多い順に米国6、欧州4(ドイツ2とデンマーク、スロベニア)、日本3、中国2、インドとシンガポールがあわせて3)と比較すると、この6年で参加チームの地理的分布がかなり移動したことがよくわかる。
ジャンボリーの雰囲気もかなり様変わりした。壇上では正装してすまし顔で「プレゼンテーション」が行われ、客席では神妙に「研究発表」を拝聴する、という印象が強かった初年度と比べると、発表者、聴衆ともに「ノリ」が確実に良くなった。学生コンテストはかくあるべし、大会立ち上げのどさくさに紛れてベストプレゼンテーション2位に潜り込んだ当チームの貢献もゼロではなかったな、などと思いつつ、かぶり物や寸劇が氾濫して、あまり学芸会的な雰囲気が強くなりすぎてしまうのも、欧米勢の割合減少と絡めて少々心配になってしまう。
いずれにせよ、非英語圏からの参加がこれほど受け入れられている国際大会は、非常に貴重である。本年から運営母体をNPO化したそうで、主催のShawn Douglasもまだまだやる気に満ちているようだ。当グループでは、大学院進学を希望する配属生全員が、チーム参加を経験している。現在のグループメンバーの強い結束が、BIOMOD参加に負うところは計り知れない。近年は成績もぱっとしないみそっかすチームではあるが、これからも暖かく迎え入れてくれる大会でありつづけてほしいものである。