新学術領域「分子ロボティクス」












MEXT


分子ロボティクス研究会


第51回分子生物情報研究会の概要

開催日 2012年11月15日(木)(合同研究会は15−17日開催)
場所  慶應義塾大学 日吉キャンパス來往舎  
主催: 人工知能合同研究会

研究会テーマを「分子ロボットが目指すべき知能とは何か?」と設定して,
下記の先生方にご講演をして頂き,分子ロボットの知能が目指すべき方向性などについて,
活発な議論を行いました.

プログラム

13:00-13:25 ○小長谷明彦(東工大)「分子ロボットにおける「知能」とは何か」

アメーバのような単細胞生物には、もちろん、ヒトのような脳はない. にもかかわらず、十分、食物を求めたり、敵から回避するなどの「賢い」行動をする. はたして、分子ロボットがこのような「知能」を獲得することは原理的に 可能なのだろうか。可能ならば、どのような接近法があるのかについて問題提起する.

13:25-13:50 ○瀧ノ上正浩(東京工業大学)分子ロボットへの生物物理学的アプローチ

分子ロボティクスは物質集合体を自律的な物質システムにする工学技術である. 本講演では,生物物理学的観点から,自律的な物質システム構築にはどのような技術開発が必要とされるか,また,どのような新しい概念を導入すべきかということを議論したい.

13:50-14:15 ○小宮健(東京工業大学)分子ロボットの実現に向けたDNA論理ゲートの現状と課題

分子デバイスをシステム化する分子ロボティクスにおいて,塩基間の対合規則にしたがって会合するDNAは,要素反応を組み合わせて望みの情報処理をプログ ラムできる有用な分子である.本講演では,これまでに実装されたDNA論理回路の性能を比較・検討することで,今後の開発課題と展望を明らかにしたい.

14:15-14:40 ○川又生吹 (東京大学) 化学反応系の複雑さと分子ロボットの知能

分子ロボットの知能を測る指標として, 化学反応系の複雑さについて議論する. 具体例として, グラフ書き換え系に基づくモデルと部分構造に基づく抽象モデルの構造数の違いに着目し, RNAiの複雑さを3種類に分類する. いかなる抽象化によっても構造数が減らない系は本質的に複雑であると考えられる. さらに, 複雑さを表す評価関数を定義し, 系を計算機上で進化させることにより, より複雑な系を自動合成する可能性について議論する.

14:40-14:55 休憩

14:55-15:20 ○小林聡(電気通信大学) 分子ロボットに知性は実現できるか? --- 計算論的立場から---

現在の核酸配列をベースにした反応回路の現状を踏まえながら,計算論的な立場からその問題点を分析し,分子ロボットが知性を実現するために必要となる課題について考える.

15:20-15:45 ○鈴木泰博(名古屋大学)分子ロボティクスのための抽象化学系

抽象化学反応の立場から、分子ロボティクスの知能を反応の連鎖を介した情報処理(物質の変化)とみなす.本講演では抽象化学系の諸相の紹介を通して,分子ロボティクスの知能のあり方について考察する.

15:45-16:10 ○村田智(東北大学) システム論としての分子ロボティクス

分子ロボティクスは従来のロボティクスとどこが共通し,どこが異なるのか. この講演では,システム論とくに自律分散システム論の立場から,比較検討を試みる.