特集 分子システムのデザインと制御 ~分子ロボティクスにおける制御工学の役割~
ゲストエディター 村田 智(東北大)
担当会誌編集委員 中茎 隆(九工大)
概要
DNA,RNA,ペプチドなどの生体高分子や人工高分子の配列設計により,さまざまな機能をもつ人工化学反応系や,複雑な形状をもつナノ構造を作る技術が急速に進展している.現在,こうした反応系やナノ構造を組み合わせて「分子のロボット」をつくることが可能となってきた.分子ロボットにおいては,同一の溶液空間内で各種の演算反応やナノ構造の組み立て過程を制御する必要がある.制御システムとしてこれを見ると,アボガドロ数オーダーの多種多様な分子群が複雑に相互作用する上に,それぞれの素過程が正確にモデル化できない,予期しない相互作用が多く存在する,生体内のように動作する環境が複雑であるなど,きわめて厳しい問題設定になっている.本特集号では,こうした人工分子システムのデザインと制御について,どのようなアプローチが可能であるか,研究の最前線を紹介する.