このたび,分子ロボティクス研究会の有志でまとめました教科書「DNA分子デザインのすべて~BIOMOD虎の巻」が完成し,CBI学会の eBook として電子版の公開を開始しました.どなたでも利用できますので,教育・研究の場でご活用いただければ幸いです.
近年,急速に発展しているDNAナノテクノロジーは,化学,生物学,情報,システムなど,さまざまな学問領域の重なる本当の意味で学際的な学問分野です.それは一方で,DNAナノテクノロジーに興味を持ったけれどもどこから勉強したらよいかわからないということになりがちだと思います.そこで,私たち分子ロボティクス研究会は,そうした方々,特に将来の科学技術を担う学生のみなさんに,手軽にこの分野のおもしろさを知っていただけるよう,この本を企画しました.
全体は次のような構成になっています.
第1章 BIOMOD に参加しよう
第2章 プロジェクトを始める前に
第3章 DNA 分子デザインでこんなことができる!
第4章 基礎知識(お勉強編)
第5章 DNA をパワーアップする飛び道具たち
第6章 ソフトウェアテクニック
第7章 実験テクニック
第8章 実験してみよう(実践編)
+コラム(トピックス)26件
大学の学部1年生を想定して,難しいところは直感的な理解ができるよう平易な解説にとどめ,しかし,重要事項は網羅するようにしています.項目ごとの関連を示すポインターや,さらに深く勉強できるように参考文献も付しています.また,BIOMODという学生コンペで戦うためのいろいろなノウハウについても多くの項目を割いています.BIOMODはオリジナルな分子の設計を競う学生コンペで,大学に入ったばかりの学生諸君にとっては,生まれてはじめて体験する研究プロジェクトになるものです.研究テーマをどうやってきめるか,どうやってチームワークを進めるか,プレゼン資料の作り方,英語での発表の仕方等々,役に立つ知識が満載です.これらは研究室でのいろいろな活動にもご活用いただけるものと思います.
本書の企画,執筆,編集はすべて,分子ロボティクス研究会の有志の方々によるものです.2015年1月の呼びかけから3か月後の2015年4月にはβ版を関係研究室に配布,その後大幅な加筆修正を経て,このたびの一般公開用の電子版が完成した次第です.
ご協力いただいた方々にはあらためてこの場を借りて,深く御礼申し上げます.
2016年4月15日
分子ロボティクス研究会主査 村田 智(東北大学)