ニュースレター15号、BIOMOD2015特集号を発行いたしました。
巻頭言は、九州工業大学の中茎 隆先生です。
BIOMOD2015は、例年通りハーバード大学を会場として、世界中から30チームが参加しての開催となった。昨年に比べ、アメリカ、ヨーロッパからのチームが減り、東アジアからのチームが全体に占める割合が増えた。特に、日本からは最多の7チームが参加したため、大会において日本チームの存在感は高かったと感じた。
振り返ると、今回の2015年大会は、最初から最後まで異例づくしの展開が続いた。4月のチームレジストレーションでは、参加チーム数を制限し、先着順とする旨がHP上で告知され、9月には学生メンバー全員のレジストレーション、ホテルの支払いが求められ・・・と例年との違いに困惑したチームや資金集めに奔走したメンターも少なからずいたのではと想像する(もちろん、筆者は奔走したメンターの一人である)。また、審査においては、例年に比べて厳しいジャッジが行われたようで、Project Award Gold(金賞)が大幅に減り、Bronze(銅賞)が大幅に増え、(例年と比べると)変則的な結果となった。
このように異例づくしの大会において、Team Sendai(東北大学)の強さは変わらなかった。大会のレベルは年々高まっており、今年は上述のように参加するための費用負担が求められたこともあり、本気で勝ちを狙った30チームによるハイレベルな大会であった。その中で、2012年大会に続き総合優勝という大金星を挙げたTeam Sendai、金賞を受賞したTeam Hokudai(北海道大学)は、世界に対して、分子デザイン領域における日本のプレゼンスを印象づけたに違いない。
日本チームの学生にとって、海外で英語でプレゼンをすることは挑戦的な課題であり、初めての経験であったという学生も多かったのではないかと想像する。また、通常の国際会議での発表と異なり、300名程の聴衆の前でエンターテイメント性にも富んだプレゼンを披露するには勇気と度胸が必要である。筆者がメンターを務めるYOKABIO(九州工業大学)の学生を見ていると、BIOMODが始まる4月頃と大会後にハーバードから帰ってきた後とでは、一回り大人に成長しているように感じている。このような感覚は、他チームのメンターも感じていることと思う。大会を通じて、若者が逞しく成長することこそ最も貴重な結果であると考えている。
最後に、BIOMOD本大会、日本大会にご協力、ご支援くださいました関係者の皆様にこの場を借りて、心より御礼申し上げます。