5月の分子ロボティクス研究会を人工知能学会「分子生物情報研究会」
(SIGMBI)および新学術領域「分子ロボティクス」との共催で、
「分子ロボティクスにおける計算と制御」というテーマで
以下の日時場所で実施する予定です。
日時:5月9日(金)14:00~
場所:電気通信大学 東キャンパス 総合研究棟3F
テーマ:分子ロボティクスにおける計算と制御
上記のテーマに限らず一般講演の希望者を募集しております.
講演希望者は,小林(kobayashi.satoshi (at) uec.ac.jp)までご連絡下さい.
また,懇親会を企画しております.会費は4000円程度を予定しております。
参加される方は,4月30日までに,
小林(kobayashi.satoshi (at) uec.ac.jp)までご連絡下さい.
プログラム
14:00 – 14:50 特別講演
「高次元カオスダイナミクスを用いたハイブリッド計算」
堀尾喜彦 先生(東京電機大学)
要旨:
高次元カオス力学系を集積回路で実装し、そのアナログダイナミクスの時間発展を
実数演算として捉える計算装置について解説する。この際、脳の情報処理様式の
大きな枠組みである、意識・無意識の相互作用をアナロジーとして用い、
アルゴリズムによる逐次計算とダイナミクスによる超並列計算の相互作用による
ハイブリッド計算装置を実現する。さらに、高次元複雑ダイナミクスによる計算の
高いロバスト性を利用して、ハードウェアの簡素化をはかる。
15:00-15:30
「走化性を司る制御器の性能解析:大腸菌とゾウリムシ,
どちらが優れた制御器を持つのか?」
東 俊一(京都大学)
要旨:
走化性とは,微生物が環境中に存在する化学物質の濃度場に従って行動する現象
のことである.本講演では, 講演者らが最近取り組んでいる走化性制御器の
性能解析に関する成果を紹介する.特に,大腸菌とゾウリムシを例にして,
「どちらのもつ走化性制御器が優れているか?」 という問いを議論する.
15:40-16:10
「生物型フィードバック制御系の安定判別法に関する研究」
中茎 隆(九州工業大学)
要旨:
生化学反応系では,負のフィードバック制御は阻害反応によって実現されており,除
算演算を基本とする。一方,メカトロニクスシステムにおいては,目標値と現在値の
偏差計算,すなわち減算演算を基本とするため,フィードバック制御系の動作原理は
異なる。従って,通常のフィードバック制御系の安定判別法はそのままでは適用する
ことができない。本発表では,阻害反応を用いたフィードバック制御系の安定判別法
について議論する。
16:20-16:50
「スウォームネットワークにおける信号伝達機構の構成」
森 正志(兵庫県立大学),礒川悌次郎(兵庫県立大学),
フェルディナンド・ペパー(NICT),松井伸之 (兵庫県立大学)
要旨:
分子サイズのロボットシステムを実現するためには,分子規模の要素により
構成された素子を用いて論理演算をはじめとする情報処理機構を実現することが必要
不可欠である.我々はこの素子として,周囲の機械と通信するための入出力端子を有し
ブラウン運動により移動する有限状態機械を想定する.本発表では,この機械の集合体
であるスウォームネットワークにおいて,情報処理の基本的要素である情報を一定方
向に伝達する信号素子や伝送路というものが構成できることを示す.
17:00-17:30
「鎖置換反応ダイナミクスを利用したアナログコンピュータの構築に向けて」
小林聡(電通大),柳橋一哉(電通大),小宮健(東工大),藤本健造(JAIST)
要旨:
分子ロボットの情報処理機能の中枢を担う化学反応回路としては,核酸配列の
鎖置換反応を利用した研究が最も有望視されている.しかしながら,それらの回路は,そのほとんどが論理回路を実現することを試みたものであり,素子を再利用できない。本講演では,鎖置換反応のダイナミクスを利用した再利用可能なアナログ計算素子を
提案し,より複雑な機能を持った計算や反応を設計する方法について議論する.