第6回分子サイバネティクス・第50回分子ロボティクス定例研究会(オンライン)

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2023年6月29日(木)に第6回分子サイバネティクス・第50回分子ロボティクス定例研究会(オンライン)を開催いたします.
分子ロボティクス研究会学生幹事の企画により、最前線でご活躍中の以下の先生方にご講演を頂きます.

===== <研究会情報> =====

主催:CBI学会「分子ロボティクス研究会」
後援:科研費学術変革領域(A)「分子サイバネティクス」
日時:2023年6月29日(木曜日) 14:00〜16:30頃予定
場所:ZoomのURLを追って連絡いたします.
参加費:無料
参加申し込み:https://forms.gle/wgZaKLCwi9BYqYSY6

*申し込みをされた方にZoomミーティング情報を配信します.入力されたメールアドレスを利用するため,入力ミスにはお気をつけください.
*なお、Zoomミーティング情報が届かない場合は、お手数ですが、下記<お問い合わせ>までご連絡ください.

===== <プログラム> =====

13:50-14:00 受付
14:00-14:10 開会の挨拶
14:10-15:00 講演1 : 講師 福間 剛士 先生(金沢大学)
演題 :「液中原子間力顕微鏡技術の開発と生体分子・細胞計測への応用」
15:00-15:10 質疑応答
15:10-15:15 休憩
15:15-16:05 講演2 : 講師 市橋 伯一 先生(東京大学)
演題 :「自律進化し自己増殖する分子システムの構築に向けて」
16:05-16:15 質疑応答
16:30頃に閉会予定

===== <要旨> =====

講演1 : 講師 福間 剛士 先生(金沢大学)
「液中原子間力顕微鏡技術の開発と生体分子・細胞計測への応用」

概要
 原子間力顕微鏡(AFM)は、液中で絶縁体の表面構造や力学物性をナノスケールの分解能で計測できるため、生体分子や細胞の構造および物性計測に幅広く活用されてきた。その中で、我々は従来超高真空中でのみ使われてきた原子レベルの計測技術である周波数変調AFM(FM-AFM)の液中動作をはじめて可能とし、生体分子のサブナノスケール表面構造観察を実現した。さらに、FM-AFMの動作を2次元から3次元へと拡張した3D-AFMを開発し、生体分子表面に形成された3次元水和構造をサブナノスケールの分解能で可視化することにも成功した。また最近では、この3D-AFMの計測対象を細胞へと拡張し、生細胞内部のナノ構造・動態を直接観察することに成功した。本講演では、これらの最新のAFM技術とそれらを用いた生体分子や細胞の観察事例を紹介する。

講演2 : 講師  市橋 伯一 先生 (東京大学)
「自律進化し自己増殖する分子システムの構築に向けて」

概要
 増殖と進化は生物にとって特徴的な能力である。私たちのグループでは、この能力を持つシステムを試験管の中で核酸やタンパク質などの生体分子から構築しようとしている。これにより、天然生物の能力をもっと使いやすい形で取り出すとともに、天然生物がどのくらいうまくできているのか(あるいはできていないのか)を理解したいと考えている。増殖し進化する分子システムの構築のためには、生物の根本的な機能であるセントラルドグマを試験管内で再構築する必要がある。これまでに私たちは、試験管の中で、1)DNA複製に必要な遺伝子を発現しながらDNAを持続的に複製し続けダーウィン進化させること、2)翻訳に必要な21種類のtRNAをDNAから発現しそのまま翻訳に使うこと、3)翻訳に必要な20個のアミノアシルtRNA合成酵素をDNAから発現させ、その活性により元のDNAをしばらく複製させ続けることに成功した。未だセントラルドグマ全体を作るには至っていないが、一歩ずつ進んでいる現状を紹介したい。また、この作る過程でいくつか生命機能が(たぶん)あまり合理的にできていないところを見つけている。こうした作る研究によって、生命機能の何がその機能にとっての必然で、何が進化的な偶然であったかも理解できると期待している。

===== <問い合わせ> =====

慶應義塾大学 小島知也 kojima-tomoya*keio.jp
東京農工大学 山地未紗 misa-yamaji*st.go.tuat.ac.jp
九州工業大学 越智耀亮 ochi.yosuke110*mail.kyutech.jp